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平成22年度「秋の例会」の開催報告

 広島大学マスターズ広島では、会員間の交流と親睦を深めるために、春と秋に例会を開催することにしているが、第1回の秋の例会は、下記の通り広島大学総合博物館を見学後、博物館の館長及びスタッフとの意見交換会を開催した。
 広島大学総合博物館は、教育学部の大講義室を改装して本館としたもので、展示室としては十分な広さではないが、特に、地元東広島市の里山・里海の世界や文化の展示物を中心に、動植物や化石の標本など500点余りを展示して、「地域密着型」で「小さいながらも質の高い博物館」を目指している。

 日時:平成22年10月9日(土)
 プログラム:
    12:45 広島大学(東広島キャンパス)教育学部正面玄関前集合
    13:00−14:00 広島大学総合博物館の見学
    14:00−15:30 館長の岡橋秀典教授から博物館ができるまでの経緯と現在の活動
                 状況についてご説明いただき、博物館が当面する課題等に
                 ついて博物館のスタッフとの意見交換会を開催


総合博物館入口前において参加者の記念写真

博物館見学中の様子(1)

博物館見学中の様子(2)

東広島キャンパス全景のジオラマ

厳島神社社殿の復元模型

 あいにく小雨の降る一日であったが、広大マスターズ広島の会員10名と東広島の広大マスターズの会員1名が参加して、総合博物館を見学させていただいた。総合博物館から館長の岡橋教授と学芸員の清水助教に館内の展示物を詳しく説明していただいた。
 総合博物館に入ってすぐのところには、大学に来られる海外からのお客さんが多いということで、広島大学の歴史や大学教員の研究業績を説明するコーナーが設けられている。自然豊かなキャンパスであることを来館者に理解してもらうために、大学全景のジオラマも展示されている。単一キャンパスとしては、日本一広いキャンパスといわれているが、東京ドーム20個分、マツダ・ズーム・ズーム球場の50個分の広さであることをお聞きし、あらためてその広さを実感した。
 総合博物館は、もともと階段教室であった講義室を改造された関係で、館内は坂になっているが、この構造を利用して、里山から干潟、里海の動植物を展示されている。本格的な展示物としては、民間人の寄託による化石がメインであるが、三葉虫、アンモナイト、直角貝などの化石に加えて、恐竜の足跡や卵も展示されており、「さわる」ことが出来る化石が展示されているのは大変珍しいので、来館者に喜ばれているとのことであった。
 異色の展示物としては、厳島神社社殿の復元模型があるが、広島大学の文学研究科の大学院生が調べた厳島神社の資材台帳をもとに、厳島神社が建てられた最初のころの社殿を国立歴史民俗博物館が復元したもので、同博物館から借りてきて展示されているとのことであった。

〔広島大学総合博物館が出来るまでの経緯と現在の活動状況〕
 総合博物館の見学終了後、教育学部の教室に移動し、岡橋館長から総合博物館が出来るまでの経緯、総合博物館の現状と課題などについて講演していただき、今後の総合博物館のあるべき姿についてマスターズの参加者と博物館のスタッフとの意見交換会が開催された。


講演中の総合博物館館長の岡橋教授

意見交換会の会場風景

【岡橋館長の講演の要旨】
 広島大学の総合博物館は、旧7帝大の大規模な博物館に比べると小規模であるが、逆に自由度が高く、独自のコンセプトを追及できるメリットがあるが、ヒト、設備、資金が不足している。しかし平成18年4月の開館から昨年9月には入場者数が3万人を超え、小中高生だけでなく、町内会や特別老人ホームの方など地域の皆さんにいろいろなことを感じ取ってもらうことが出来ているのではないかと考える。
 大学が博物館を持つことは、資料の劣化や喪失を防ぎ、学術標本資料の所在情報を明らかにし、知的遺産の継承に役立つという意義を持っているが、展示施設のスペースが不足し、公開が必ずしも十分行われていないという問題があると考えられる。広島大学は、大学(キャンパス)まるごとミュージアムという構想のもとに、総合博物館を核にして、各部局の展示スペースをサテライトとして、ネットワークを組んでいることが特徴となっている。
 開館からすでに4年が経過しているが、学術標本資料の展示や社会連携事業の推進には貢献しているものと思われるが、スタッフの充実や、学術標本資料の調査とデータベースの構築はまだ十分行われているとは言えない。今後、特定分野を深く掘り下げた専門性に取り組むとともに、大学の教育とも連携し、「学びのショーウィンドウ」としての展開も目指したい。

【意見交換会での主要な話題】